医療で言うショックってどういう状態のこと?

 

この記事で言う「ショック」とは、

 

残念な気持ちを表現するときに使う用語ではありません。

 

医療的に言う「ショック」について解説します。

  

ショックとは

 

ショックとは、一言でいうと「重要な臓器への酸素供給不足」のことです。

 

要するに、脳や心臓への酸素供給が不足した状態のことです。

 

ヒトは、呼吸によって酸素を体内に取り入れ、

 

その取り入れた酸素を血液に乗せて全身に運搬します。

 

ショックとは、体内を流れている血液量が少なくなり、

 

全身にうまく酸素を運搬できなくなります。

 

ショックの概要で説明したように、全身への酸素供給が不足してしまいます。

 

血液が回らないことによって。

 

全身が低酸素状態になるわけです。

 

ヒトの死因の一つに「低酸素」があります。

 

ショックに陥った患者に処置も何もしないと数分程度で低酸素により死亡します。

 

ショックとは、緊急性が高い病態の一つですので覚えておいてください。

 

ショックにも分類があります。

 

ここからは、ショックの分類について解説していきます。

 

ショックの分類

循環血液量減少性ショック

これが一番わかりやすいし、ショックの中でも主となる病態と言えます。

 

循環血液量減少性ショックとは、純粋に体内の血液量が減少することでショックに陥る病態です。

 

熱中症による脱水や事故やケガによる出血、

 

熱傷、食事量の減少、下痢、嘔吐などが原因で循環する血液が減少して

ショックになります。

 

ニュースなどで事件の被害者の死因は、「大量出血」によるもの。

 

などのように報道されることがあります。

 

これは、血液が大量に体の外に出てしまい。血液量が減少し

 

酸素をうまく全身に供給できないため死亡しています。

 

ショックという概念をしっかり理解すると、

 

こういうニュースからも病態の想像ができます。

 

循環血液量減少性ショックに対する治療としては、止血が一番効果があります。

 

治療の一つに輸液や輸血もありますが、

 

病態の原因である出血を止めない限りその病態からの回避は難しいです。

 

また、止血をしないうちに輸液によって体内の血液を補おうとすると

 

逆に出血を加速させることになりかねません。

 

循環血液量減少性ショックの原因治療は「止血」です。

 

覚えておきましょう。

 

血液分布異常性ショック

血液分布異常性ショックとは、手や足などの

 

体の末梢に血液が集まることでショックになります。

 

ショックの定義を思い出してみてください。

 

「重要臓器への酸素供給不足」でしたね。

 

手や足に血液が集まると、相対的に脳や心臓への血液量が少なくなります。

 

これが、血液分布異常性ショックです。

 

言葉の通り、血液の分布が異常であることがショックを成立させています。

 

血液分布異常性ショックは、病態によってさらに3つに分類することができます。

 

敗血症性ショック

これは、感染からショックに陥る病態のことを言います。

 

血液中に細菌やウイルスが存在している状態で体の末梢血管は拡がります。

 

そのため、脳や心臓は血液不足、つまり酸素不足になります。

 

高齢者に多くみられる病態で、食べるときによくむせる患者は肺炎(誤嚥性肺炎)から

 

寝たきりの患者は床ずれ(褥瘡〔じょくそう〕)を原因として発症します。

 

感染症なので発熱もあります。

 

医療現場では、発熱の原因が明らかな場合で

 

意識障害 ②呼吸数22回/分以上 ③収縮期血圧100未満

 

上記①~③のうち2つ以上該当で敗血症性ショックと鑑別してます。

 

敗血症性ショックは、低酸素と感染というふたつが併存しているため

 

早期の鑑別と治療が求められます。

 

この鑑別に用いるマニュアルを

 

医療現場では「QSOFA(クイックソファー)」と言っています。

 

アナフィラキシーショック

これは、テレビなどでたまに聞くことがあるかと思います。

 

簡単に言うとアレルギーの重症版と思って差し支えないでしょう。

 

アナフィラキシーショックは、アレルギー反応を基に発症しているため

 

アレルギーのあるものを食べたり、同じものを大量に食べたり

 

食後に運動を誘発として発症することもあります。

 

ハチに2回刺された場合も危険です。

 

アナフィラキシーショックは、

 

発赤や発疹など皮膚がかゆくなったりする皮膚症状。

 

咳や呼吸困難などの呼吸器症状。

 

動悸(心臓がドキドキすること)や血圧低下などの循環器症状。

 

腹痛や下痢などの消化器症状。

 

しびれや頭痛、めまいなどの神経症状。

 

熱感や発汗などの全身症状。

 

以上の中から二つ以上の臓器に症状が出た場合に診断されます。

 

アナフィラキシーを発症するひとの中には、

 

エピペンというアナフィラキシーを発症したときのための

 

注射器が処方されている人もいます。

 

エピペンを携帯している人で苦しそうにしていたら

 

まずはアナフィラキシーを疑って問題ないでしょう。

 

神経原性ショック

神経原性ショックは、主に転倒や転落、事故などの外傷を原因として発症します。

 

人は、自律神経によってコントロールされています。

 

自律神経には、交感神経と副交感神経という二つの神経があります。

 

主に活動や緊張を高めるときに交感神経が優位に働きます。

 

休憩や睡眠の時は副交感神経が働きます。

 

この二つが人の活動バランスを保ってくれています。

 

交感神経と副交感神経はそれぞれ体の違う場所から出されています。

 

交感神経は、胸の上部から腰の中間部までの脊髄から出ています。

 

医療用語でいうと、第1胸髄から第3腰髄までです。

 

副交感神経は、大脳と頚髄の間に位置する脳幹から出ています。

 

首の上あたりですね。

 

そのほかに、骨盤付近からも副交感神経は出ています。

 

医療用語いうと、第2~4仙髄です。

 

ここで注目して頂きたいのは、

 

副交感神経は、脳幹から。つまり首の上あたりから

 

交感神経は、胸から腰のあたりから出ているということ。

 

もし仮に事故で頸椎損傷を起こしたとします。

 

首から下の交感神経は閉鎖されるわけです。

 

この時、生き残っているのは?

 

そうです。首から上の副交感神経です。

 

体を休めるときに働く神経が優位になるのです。

 

話をショックに戻しましょう。

 

神経原性ショックは転倒や転落、事故などが原因で発症することがほとんどです。

 

神経原性ショックに特有の症状として

 

徐脈があります。

 

体が危険な状態の時は、手や足などの末梢血管を細くして脳や心臓に血液を送ろうとします。

 

しかし、このショックは、交感神経が遮断され副交感神経優位の状態です。

 

そのため、末梢血管は拡がり、心臓はゆっくり動く徐脈になります。

 

全身への酸素供給は不足することになります。

 

これが、神経原性ショックの病態です。

 

事故現場で低血圧なのに心拍数や脈が遅ければ第一に疑った方がいいでしょう。

 

心原性ショック

これは、わかりやすく言うと、心筋梗塞心不全によるものです。

 

どういう病態かというと、

 

心臓が動かないことによって全身に血液が送ることができず

 

ショックに陥ることです。

 

心臓が機能しなくなると何故ショックになるのか?

 

心臓は大きく拡がることで全身や肺から血液を吸引します

 

そしてその拡がった力を利用して一気に収縮して全身や肺に血液を送ります。

 

心臓が機能しなくなると、拡がる力が無くなり全身と肺から血液を吸収できません。

 

もちろん、血液を吸収していないから全身に血液を送ることもできません。

 

だから、全身の酸素供給不足が完成してショックになるわけです。

 

これが、心原性ショックという病態です。

 

おもに心筋梗塞がその代表です。

 

心筋梗塞とは、心臓を動かす心筋(心臓の筋肉)にある冠動脈に

 

異物が詰まることで発症します。

 

冠動脈に異物が詰まるとその先にある心筋は壊死してしまいます。

 

心臓が壊死すると回復することはありません。

 

心筋梗塞は、緊急度と重症度がともに高いため

 

多くの人に知られています。

 

肥満のひとや糖尿病、たばこをよく吸う人は心筋梗塞のリスクが高いです。

 

肥満の人は、血液中に脂質が溜まりやすくそれが、

 

塊となり冠動脈に詰まることで心筋梗塞を発症します。

 

たばこを吸う人は、血管が細くなることで異物が詰まりやすい血管ができてしまいます。

 

こういったリスクは日常生活を見直して改善することで予防できます。

 

心外閉塞・拘束性ショック

心外閉塞・拘束性ショックは、心原性ショックとは異なり、

 

心臓の機能は保たれています、

 

しかし、心臓の周囲の臓器などが心臓の動きを邪魔することで

 

ショックに陥ります。

 

こちらのショックもいくつかに分類されます。

 

血栓塞栓症(心外閉塞性ショック)

全身で使われた血液は酸素を消費して二酸化炭素を多く含みます。

 

その血液は一旦心臓に戻り、肺へ送られます。

 

この時に肺で二酸化炭素と酸素を入れ替えて

 

キレイな血液(酸素を多く含む)を心臓へ送り

 

そこから、全身へ血液が送られる仕組みです。

 

血栓塞栓症は、全身から心臓に戻り、そこから肺に送られる途中の肺動脈が

 

詰まることでショックになります。

 

肺に血液が行かない↓

 

だから心臓にも血液が行かない↓

 

結果、全身に血液が送れない↓

 

ショック。

 

これが、肺血栓塞栓症のメカニズムです。

 

心臓の外で閉塞が起こるから

 

心外閉塞性ショックと言われています。

 

心タンポナーデ(拘束性ショック)

心臓は3つの膜からできています。

 

外から心外膜、心筋、心内膜の3層構造です。

 

心タンポナーデはこの心内膜が裂けて、心嚢内に血液や液が

 

貯まることで心臓の動きを抑制し

 

ショックになります。

 

心臓を拘束するとこから拘束性ショックとして分類されています。

 

緊張性気胸(拘束性ショック)

気胸は聞いたことがあるかもしれません。

 

肺が裂けて胸腔内に空気が入り込み、心臓や反対側の肺が圧迫されます。

 

肺が裂けると、うまく呼吸ができなくなります。

 

この病態を気胸と言います。

 

やせ型の男性に多くみられます。

 

気胸が進んで、空気の圧迫が強くなり心臓も圧迫してしまうと

 

うまく心臓が拍動できずショックになります。

 

これを緊張性気胸といい、拘束性ショックとして分類されます。

 

まとめ

ショックとは、「重要臓器への酸素供給不足」です。

 

ショックの分類は以下のようになっています。

 

循環血液量減少性ショック

血液分布異常性ショック

 敗血症性ショック
 アナフィラキシーショック
 神経原性ショック

心原生ショック

心外閉塞・拘束性ショック

脱水や出血、下痢、嘔吐などにより

 

血液量が絶対的に減少する「循環血液量減少性ショック」

 

感染症やアレルギー反応、外傷による副交感神経優位などによる

 

「血液分布異常性ショック」

 

心筋梗塞心不全などの

 

心臓機能自体に異常がある「心原生ショック」

 

心臓の周囲臓器などが閉塞、拘束されることで起きる

 

「心外閉塞・拘束性ショック」があります。

 

 

いかがでしたか?

 

ショックについて簡単に理解することができましたか?

 

そして、ショックの種類がいくつかあることも理解してもらえたと思います。

 

このブログでは、健康医療を専門とした職業人が

 

「難しい医療知識を誰でも簡単に理解できる」をテーマとした

 

ブログを作っていきます。

 

今後も有益な記事を書いていきますので

 

よろしくお願いします。

 

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